突発的な咳払い、目をぱちぱちさせる、鼻を鳴らす、肩をすくめる、吃音などのしぐさが気になる。単なるクセ?病気?とこんな状況を目にしている保育士も少なくありません。今回はチックについてまとめてみました。
チックとは?
チックとは、突発的で急速にリズムなく繰り返される一定のパターン化された運動や発生と定義づけられます。
チックの原因
原因はまだわかっていません。物事がよくわかってくる3歳~10歳くらいの年齢になると発症することが多く、特に小学校入学前後に多い傾向があります。ストレスや環境の変化、発達段階での脳神経のバランスが不安定になりやすい時期であることから理由だと言われています。一方で、最近の研究では近年は脳神経伝達のアンバランスでドーパミンという神経伝達物質が関係していることが理由とも言われています。また、遺伝的な要因から発症しやすかったり、チックの原因は一つではないと言われています。
―男の子に多い―
チックの症状のある子は全体の10~20%と言われていて、男の子に多いのが特徴です。
男女比は男の子が2・3:女の子1です。
―チックの9割以上が一過性チックと考えられる―
チックは数週間から1年以内の一過性チックと、一年以上続く慢性チックと診断されます。
チックの9割が一過性チックと考えられています。
症状は様々で「運動チック」と「音声チック」に分けられます。またチックの症状の重さによって「単純チック」と「複雑チック」に分けられます。
チックの種類
チックの症状が出た場合にはまずは周りの大人は「見守る」ということが大切です。無理に直そうとしたり、心配しずぎてしまわず子どもの様子はしっかり把握しながら見守りましょう。1年以内に治まるチックが9割以上です。
●運動性チック
(単純チック)
・まばたきをする
・白目をむく
・首をふる
・首をまわす
・肩をすくめる
(複雑チック)
・表情を変える
・人や物を触る
・においを嗅ぐ
●音声チック
(単純チック)
・咳、咳払い
・吠える
・鼻をならす
・あ あ ん ん などと声をならす
(複雑チック)
・汚い言葉を発する
・他人の言った言葉を繰り返す
・自分の言った言葉を繰り返す
ほとんどが単純性チックの場合が多いですが、症状が1年以上続くとトゥレット症候群というチックの最重症型の診断がつくことがあります。また、チックがあった場合に、日頃の生活の中で、ストレスがないかも確認してみましょう。例えば本人が学習について難しさを感じている場合、学習障害などを合併している場合もあります。広汎性発達障害、注意欠陥/多動性障害(ADHD)なども合わせて注意してみましょう。
吃音(きつおん)
吃音とは、言葉が滑らかに出ない発話障害の一つです。
具体的には
- 「い、い、いちご」などはじめの言葉を繰り返す
- 「いーーちご」など言葉を引き延ばす
- 「・・・いちご」などはじめの言葉が出るのに時間がかかる。
というような例が挙げられます。
吃音には、
■発達性吃音
■獲得性吃音
の2種類があり、
チックと同じように、男の子に多く見られ、発達の段階で発症することがほとんどです。
吃音の9割が一過性のもので、その他に遺伝的な要因やストレスなどの心理的要因で発症する場合があります。
子どもが吃音になった場合の大人の対応
●ゆっくり、ゆったり話す
●短い時間でも1対1になれる時間をつくる
●すぐに子どもの話を聞いてあげられない場合は、後で必ず話を聞く時間を設ける
●生活習慣にゆとりを持たせる(スケジュールをいれすぎない)
※専門家や相談室、治療を行う施設を利用することも一つの選択肢です。専門家の意見は子どもの為にもなり、親や保育する人の安心材料にもつながります。
対処法
まずは家庭で子どもにストレスがかかっているような環境がないかを確認し環境面を調整し生活習慣を整えます。それによりチックの症状が治まることが多くあります。
チックが1年以上続き、本人がストレスを抱えている場合には医療機関などへ相談するのも一つです。複雑性で本人のストレスや不安が強い場合には薬物療法を使う事もあります。
また、保護者によりますが、10人に1人か2人抱えていると言われているチック。話せる方に話してみる事で同じ気持ちの方が多い事にも気づくことを保護者に伝えてみても良いかもしれません。
まとめ
いかがでしたか? まずは保育園では子どものストレスを少しでも拭えるようにスキンシップを多くとったり安心できるように接することが大切です。すぐに治るものでもないので長い目で見守ってあげることが大切です。